生まれ年は厄年!生年祝いみんなでお祝いして厄をふり払え!

西表島では、生まれ干支にあたる人たちのお祝いを行う風習があります。

生年祝い、島の言葉で「トゥシビー」といって、数え年で13歳に初めて行い12年に一度巡るたびに続いていく行事です。

ということは、毎年行われているわけで新暦の年明けに開かれるのが一般的になっています。

これは、生まれ干支になる一年は”厄年”にあたると考えられていて、当事者の無病息災を祈願した行いであります。

本土ではなかなか聞かない風習であるかと思いますが、数えで61歳になる年の還暦祝いが唯一「トゥシビー」の祝いと重なります。

長寿になればなるほど盛大にお祝いが行われ、さらに長生きしてもらうように祈願します。

西表島では、新暦の1月2日に各地区の公民館が主催して行われれるのが通例になっています。

その年によってお祝いされる人数はもちろん変わってきます。多いときでは小さな集落でも20以上が生まれ年にあたる年もあったようです。

上座に一列に並んで座り、地域の人たち全員から祝福されます。

お正月休みのタイミングですねで、島外に生活の拠点を置いている島出身者も里帰りし、参加します。

会場である公民館も普段と違い華やかに飾り付けをされ、お祝いムードを演出します。テーブルには泡盛、ジュース、お刺身やオードブルなど豪華な食事も用意されます。

お祝いをされる側には各重箱料理が用意され特別な内容の料理が与えられます。中身の例は後ほど紹介しましょう。

宴が始まると、生年メンバーが一人一人紹介され、順場に挨拶し感謝の気持ちを伝えていきます。

そして会場に作られたステージでいろいろな余興が行われ、さらに場は盛り上がっていきます。

婦人たちによる伝統の八重山舞踊、三線による弾き語り、青年たちによる創作コントや踊り。とにかく大きな笑いに包まれます。

生まれ年の厄もきっとどこかに吹っ飛んでいくことでしょう。

それでは重箱料理の中身を一例ですが見てみましょう。

・赤米(赤飯)
・昆布料理
・葉野菜のおひたし
・お芋のてんぷら
・田楽
・砂糖にお豆
など、食材的には少し質素なものも多く使われますが島の恵みを使った縁起のよい仕上がりになっているといえます。

地区によっては地域の新年会もかねて開催されるところもあり、より一層の大イベントになります。

時代の風潮として、本土などでは家族単位で行うお祝い事も多い中、西表島では地域の人たちみんなで祝福するという古き良き風潮が消えることなく続けられています。

島で生まれ育った人たちは、先祖や家族はもちろんのこと、地域に育てて頂いたという感覚も強く持っており故郷を愛する心が深いような気もしますね。

それは生年祝いのような地域みんなで行う、暖かい行事が多く残っているということも理由の一つでしょう。

人口も少なく、学校の生徒数も本土に比べると極端に少ない現状があり、高校が無いため中学を卒業すると島を出なくてはならない限られた生活の中で、地域の人間の心あるつながりが、立派な大人へと導く道しるべとなっていると思います。