アンガマとは旧暦のお盆(旧盆)の時期に、その集落内にある家々を回るあの世からきた使者のことをいいます。
アンガマたちは複数で列を組み、サングラスやマスクをつけ変装して行列となって回ります。そして、訪れた先では太鼓や三線などを使い踊りや歌を披露していきます。
これは、アンガマたちが子孫繁栄や五穀豊穣を願い、祈願しているといわれています。
当然、本来は本物の使者が島を訪れるわけではありませんので、地元の青年会などによりアンガマ行列が再現されます。
基本的にはアンガマたちが話す言葉はすべて八重山の方言が使われています。
このアンガマ行列を率いて指示する役目を担っているのが、木彫りのおじいにお面をつけた”ウシュマイ”とおばあのお面をつけた”ンミ”呼ばれる二人です。
訪問先でみせるこの二人のやり取りが、なんとも言えない風情がありとても場が盛り上がります。
二人の一番の見せ所といっても良いのかも知れません。
その他が変装して演じるわけは、お盆の送りの日に素顔がばれていると、本物の霊たちと一緒にあの世に連れて行かれてしまう為といわれています。
旧暦の7月13,14,15日に行われるため、月の明かりで外も照らされる中、行列を組みにぎやかに練り歩く姿はとても神秘的なものにさえ感じます。
先ほど説明したとおり、訪れた先々でのやり取りはすべて方言で行われているため、実際のところは話している内容までは理解できません。しかし、言葉のリズムやオーバーなアクションで理解できなくても笑えてしまう不思議なところがあるんですよね。
この、ウシュマイとンミ以外のメンバーたちは集落や訪れた家先では、あの世の言葉としてすべて裏声を使い場を盛り上げています。
また、全員で息のあったダンスなどを披露することもあります。これも参加するものたちが、毎夜集まり練習し精度を高めています。
もちろんこの慣わしは伝統的な行いではありますが、島ではとても人気があり盛り上がるために地域外からこのアンガマ行列を歓迎した依頼も増えつつあるようです。
地域の老人ホームや幼稚園や飲食店など、時間があえば訪問してくれることも可能になっています。
その際はいくらかは謝礼を支払い、それが青年会の貴重な活動資金になっていきます。そのように上手に循環していくのです。
青年たちも日頃の練習の成果を披露できる場所であり、皆さんが喜び楽しむ姿を見れるのは苦労も吹っ飛ぶことでしょう。
島に根強く残るご先祖様を崇拝する思想が、このようなあの世とこの世を繋ぎ、ともに楽しもうという行いを継続的に受け継がれることになったのでしょう。
先立たれたもの、また残されたものが、それぞれ暮らす世界で明るく楽しく生活する姿を確かめ合うことによって、繁栄は永遠に続くというメッセージを送りあっているのかも知れませんね。
一見、オチャラけた行事の様に聞こえますが、実際の場を体験してみると随所に神聖さを感じることは経験上間違いありませんので、機会ができればぜひ足をお運びくださいね。