祝いムードは中国に負けない、旧正月は親戚一同集まり盛大に

沖縄本島、各離島を含む地域は古く琉球王国時代、中国からの文明の影響を多く受けてきた歴史があります。

西表島も例外ではなく、現存する多くの行事などは中国で作られたとされる旧暦に沿って行われています。

1972年正式に日本国に返還され、新暦一本化された以降も旧暦行事の多くは根強く残り、行われています。

その代表的な旧暦行事の一つ、旧正月を今回は見ていきましょう。

旧正月、いわゆる旧暦の1月1日にあたる日ですね。

旧暦は月の運動を参考に作られており、1日つまり新月を物事の始まりとし、大切にし生活を行ってきたのです。特に海人たちはこの旧暦を重んじてきた傾向が強いですね。

現在はTVの報道などで、中国の旧正月の模様が流れることがあるかと思いますが、爆竹や花火といったお祝いをしていますね。ここ西表でもやり方こそ違いますが盛大にお祝いをしています。

しかし、島の現状を考えると内地(本土)からの移住者も多く、旧正月を正式に祝う地域は限られてきたことも事実です。

では、島の旧正月の過ごし方を覗いてみましょう。

旧暦の年の瀬から準備に入ります。新年用のお供え物や飾り付け、昆布まき等の縁起物の下ごしらえなど、新たな年を迎える為の心構えも行います。

先祖代々のお墓の掃除や仏壇のお供えも行います。

新年を迎えることは、やはりめでたいことですので正月料理も豪華なものになります。スーパーや市場などにも普段は並ぶことない珍しい食材や料理が数多く見られます。

島のそれぞれの家庭により細かなお祝いの仕方は違いがありますが、地域によっては特に盛大に行います。

亀甲墓と呼ばれる、沖縄独特の大きなお墓の前に正月用の豪華な料理を持ち込み、家族や親戚が集まりお墓の前で宴会を行います。

まず、本土ではありえませんが、先立たれたご先祖様と一緒にお祝いをする精神が島の人々には残っているのです。

三線を引き、歌ったり踊ったりと島酒とともに宴は続きます。

現在の新暦とは曜日などが合わないため、旧正月が平日にあたることも珍しくはありません。しかし、島を離れた子供たちの中にも、この旧正月に合わせて帰省することもあるようです。

それぐらい意識としては重要な日に置かれているのでしょう。

自分のお墓の前で、残された子孫たちが明るく楽しく正月を祝う姿を見れてさぞ良い気分になると思います。

ここで、我々が過ごしてきた一般的なお正月といえば「お年玉」ですよね。

島の子供たちは旧暦と新暦両方の正月で、お年玉をもらうのでしょうか?

これは、以前は旧正月にお年玉を渡すことをやっていたそうですが、やはり新暦の正月に合わせて渡す家庭が多いようです。

今でも旧正月に合わせて帰省する子供たちにそのタイミングで渡すこともあるようですが、基本的には同じ人からは一回だけですね(笑)

こういった意味でも旧正月そのものの行いが、薄れていく傾向にあるかもしれませんね。

今後も昔からの島のリズム”旧暦”で行われる新年のスタートが受け継がれていくことが、島の文化の継承の大切な役割の一端を担うことになるでしょう。