あの世とこの世繋いで共に祝おう!伝統祭りだ十六日祭!

旧暦の1月16日はあの世のお正月といわれています。

この世のお正月同様、盛大にお祝いするのです。これも先立ったご先祖様への供養の一環とされています。

先祖代々続くお墓へ、家族、親戚一同で訪れ、豪華な料理、泡盛、お花などをみんなで持ち込み宴を始めます。

三線を弾き、歌ったり、踊ったりとみんな楽しく過ごします。そうすることにより、ご先祖様たちが残された子孫たちを安心してこの世に預けられるという言い伝えがあります。

また、ご先祖様たちがあの世でお金に困ることの無いようにするために、”ウチカビ”といって、あの世のお金に見立てた紙をみんなで燃やします。

このウチカビは、西表島の商店なんかでは必ず売っています。面白い風習ですよね。

しかも、この行事は西表ではすごく重要視されています。

旧暦の1月16日に毎回行われているため、当然平日になったりすることもあります。しかし、地域によっては会社や学校がその日は午前中で終了したりするんですよ。凄いですね。

いつからこの風習が生まれたかというと、年代までは分かっていませんが、古く琉球王朝時代にあったとされています。

その時代、王朝に勤める家来たちは新年を迎えて王族たちのお正月の行事やお世話で慌しく過ごします。

おおよそ年明け15日ぐらいまで続くそうです。そして、そのお役目が終わってからやっと自分のご先祖様のお墓参りができたそうです。それが16日だったということです。

それでは、この十六日祭ではどのような料理でご先祖様の供養を行っていたのか当時のメニューを見てみましょう。

通常このような行事の時には、お餅と”御三味(ウサンミ)”と呼ばれる重箱に詰められた料理が用意されます。

重箱の中身はというと、豚肉・かまぼこ・昆布・豆腐といった昔ながらのご馳走が敷き詰められています。本来の御三味は文字通り三つの味を表しており、牛・羊・豚、あるいは豚・にわとり・魚といった食材を指す。

これは中国の三牲と呼ばれる、神に供えるいけにえの食材が起源となっているようです。

味付けはいたって薄味で仕上げるのが主流であります。食材は今の時代では特に高価なものではないかもしれませんが、以前はなかなか常時手に入れ難いものであったと予想されます。

出来上がりの見た目も、特に華やかに飾りつけもせず、無彩色が多いですね。

墓前に集まり、豪華な中身のお重を並べご先祖様の供養をする。さぞかしご先祖様たちも喜んだことでしょう。

また、後世を生きる子孫たちもこのような大切な年中行事の時にしか、食すことができないご馳走を目の前にしてとても幸せを感じることのできる時間だったのではないでしょうか。

沖縄本島などにも行う家庭はありますが、特に宮古島、石垣島を含む先島諸島では盛大に行う風習が根付いているようです。

これからも島に生きる人々のご先祖様に対する敬意が続き限り、毎年旧暦の1月16日には墓前で盛大に行われていく大切な行事であることは間違いないでしょう。