豊漁祈願!チーム一丸真剣勝負、伝統ハーリー競争!!

西表島は云わずと知れた360度見渡す限り海に囲まれた孤島である。

当然、人々の生活と海は切っても切れない関係にあります。

人々は海から頂く恵みによって繁栄を築いてきたことは間違いありません。

沖縄の方言で、漁師さんのことを”海人(うみんちゅ)”と呼びます。この海人を中心に海からの恩恵をもらい感謝し生活してきたわけです。

また、海はとてつもなく恐ろしいものに変わることもあります。台風や津波、そういった一面も持ち合わせていることを島の人々は理解しています。

そして一年に一度、その年の豊漁に感謝し、航海への安全を祈願する行事が行われています。

海神祭と呼ばれる、歴史ある伝統行事です。

古くは、沖縄本島が発祥の行事ですが、石垣島を中心とする八重山諸島へ移民した海人が伝えたとされています。

また、方言で”ユッカヌヒー”と呼ばれています。

行われる時期は、毎年旧暦の5月4日と定められています。ちなみに今年2016年は、6月8日が旧暦の5月4日にあたるためその日に行われます。

西表島では、島の西側にある白浜集落という地域で毎年盛大に行われています。。

この地域は以前から海の漁が盛んであり、現在でも島の中では海人が一番多く暮らし、漁の拠点としています。

しかし、昔と違い、全体で見る海人の数は激減しています。それは、多くの理由がありますが代表的なのは環境の変化が大きいといわれています。

魚が獲れなくてはやはり生活も困難ですから、後継者が増えていかないという現実があるようです。

この海人の祭り海神祭のなかでメインのイベントが、沖縄地方で古くから使用されている”サバニ”という木造漁船を使ってレースを行うハーリー競争です。

この船は、当時は漁だけでなく、川を渡るときや島と島を移動するときの手段や荷物の運搬などにも使用されていたようです。

造船方法としては、一本の木をくり貫き船の形にしていたようです。現在ではその技術を持った職人さんが少なく、大変貴重なものになっています。

西表白浜海神祭では、1チーム11名(うち船頭さん1名)でメンバーを組み、レースに参加します。

この船の推進方法は、エークと呼ばれる櫂を一人づつ持ち、呼吸を合わせて櫂で漕ぐことにより進みます。

祭りが近づく10日ほど前から、毎日のように夕方から日没まで各チームの練習が行われます。この時期になると集落いっぱいに各チームがエークを合わせて漕ぐ掛け声が響き渡ります。伝統ある風物詩のようになっています。

さすがに、女性メンバーだけのチームでは優勝することが難しいですが、近年では毎年参加する女性チームも増えてきているようです。

やはりどのチームも優勝を狙って練習をし本番にピークを合わせてくるのですから、レース当日は会場全体が白熱した状態に包まれます。

毎年の伝統行事になっていますので、メンバーの島人にとっては頭から離れることはないでしょう。

また団体競技ということで、メンバーやライバルたちとの称え合う心も、このレースの醍醐味ではないでしょうか。

優勝した暁には、海人の行事らしく、メンバー全員でも食べきれないほどたくさんの海の幸が寄贈されます。

島の泡盛とともそれを肴に、健闘を称えあい、朝まで勝利の美酒に酔うことでしょう。

こうして海の神様に感謝し、命の恵みに感謝し、新たな一年を迎えていくのです。