神秘!マングローブの暮らし続ける生き物と自然のリズム

西表島は大小合わせて26個の川が流れている。

比較的起伏にとんだ地形なため、水資源は豊富である。近隣の離島に海底パイプで生活水の供給も行っている。

特に西部地区に注ぎ込む浦内川は、県内最長であり水量が豊富な2級河川である。

多くの川の下流の汽水域では、広大なマングローブ林が見られます。

この西表島で見られるマングローブを形成する植物の種類は多種にわたっていて、日本産7種類すべてが確認できるのはここだけである。

因みにその7種とは、メヒルギ・オヒルギ・ヤエヤマヒルギ・ハマザクロ・ヒルギダマシ・ヒルギモドキ・ニッパヤシである。

汽水域に群を形成しているため山からと海からのミネラルを同時に含み、生き物たちにとっても有利な環境になっています。

また、特徴的な支柱根が広がる林の構造を複雑にしており、生き物たちが身を隠すのに適した状態を作り上げています。

このマングローブ林に住む生き物たちをご紹介していきましょう。

オカヤドカリ・ムラサキオカヤドカリ…通常ヤドカリは水中で暮らしていますが、オカヤドカリは生活の大半を陸上で行っています。
ミナミトビハゼ             …マングローブ全体の潮が引くと姿を現します。ぴょんぴょんと飛び跳ねながら移動します。島では「トントンミー」の愛称で人気があります。
シレナシジミ …日本最大のシジミ。大きいものでは10センチ以上になるものもあります。
シオマネキ …片側にだけ大きなハサミを持ち、潮を招くような動きでハサミを振っています。
ヒルギハシリイワガニ …名前の通りヒルギの支柱根を行ったりきたり動き回っています。
ミナミコメツキガニ …干潟の中ほどに多くの固体と一緒に群れを成しています。近づくと一斉に砂の中に身を潜めます。
ノコギリガザミ …甲羅の淵が鋸の刃のような形状をしています。島では食用として広まっています。
キバウニミナ …黒く細長い巻貝。昔の人たちはつりの餌にしていたとも云われています。

これらの生き物はマングローブ群自体を住処にしており、潮の干満運動による環境の変化にも十分に対応し、生活を行っている。

満潮時には、支柱根が隠れるほど海水に浸ることになります。その結果、海からの魚たちも汽水域まで上ってきます。捕食活動をしたり、産卵したりと多くの生き物たちにとって活動の場になっています。

また、マングローブ林の陸上側を観察してみると、イリオモテヤマネコ・リュウキュウイノシシなどの哺乳類、カンムリワシなどの鳥類、小さな昆虫類などの姿も頻繁に見られます。

西表島に生きる生き物たちにとっては、このミネラルなどの有機物を多く含み、天敵から身を守る構造も構築されているマングローブの林は命を育み繋いでいく上で無くてはならない特別な環境であることは間違いありません。

日本でも見られることの無い貴重な環境を、人々の手で破壊するのはもってのほかで、西表島でもマングローブ自体が観光地の一つになっていますが、自然に配慮し、生き物たちに悪影響を及ぼすことなく、共存の暮らしをしていく必要があり、今後大きな課題になっていくでしょう。