珍味!琉球イノシシ(カマイ)の刺身を食べる島人達の暮らし

西表島は島の90パーセントが亜熱帯の自然林で構成されています。さらにそのうちの10パーセントは、人間が未だに足を踏み入れていない未知の領域だとされています。

いかに、奥深く険しいジャングルなのかが想像できますね。

その中に住む哺乳類は、イリオモテヤマネコ・リュキュウイノシシ・ヤエヤマオオコウモリ・カグラコウモリなどが代表的であります。

この中でも、現在でも食用として島の人々と関わりが残っているのが、リュウキュウイノシシであります。

島ではこのイノシシのことを”カマイ”と呼んでいます。

日本には、ニホンイノシシとリュキュウイノシシの二種のイノシシが存在しています。

リュウキュウイノシシの分布範囲は、奄美大島や徳之島などの奄美諸島から、沖縄本島、石垣島、西表島の沖縄諸島にかけて確認されています。

ニホンイノシシに比べて、小柄なのが特徴であります。

この生息地域の中でも、特にリュウキュウイノシシにとって、生きる環境が最も適しているのが西表島になり、その他の地域は土地開発などによる環境の変化から個体数がいちじるしく減少傾向にあります。

また、西表島に生息する個体は、古くから唯一の存在となっており異種のイノシシや豚などとの交尾が無く、純血のリュウキュウイノシシと認識されています。

その為、食し方も独特であり、その他の地域では確保した肉を焼いたり、牡丹鍋といった形で煮たりする調理法を取っていまが、純血で菌が少ないため、生で食べる文化が根付いています。

この、イノシシの肉を刺身(生)での食し方は、西表島特有の食べ方になっています。臭みもまったく無く、赤ピンクの肉色は綺麗で、はじめての方でも問題なく食べられると評判も上々です。

一度、西表島に足を運びお試しになられることをオススメします。絶品ですよ!

それでは捕獲の仕方を見てみましょう。

西表島では手作りの罠を仕掛けて、イノシシを獲ります。

日本全国のイノシシの狩猟期間は、毎年11月15日から2月15日と定められていて、西表島も例外ではありません。

毎年、狩猟免許を取得し、しかるべき講習を受けたものだけにその権利が与えられています。

西表島での個人の狩猟範囲の決め方は独特で、ほとんどが国有林になっている為、個人の山は無く通常ではなかなか割り振ることができません。

しかし、国有林として定める遥か以前からの生きる営みであるため、代々、親から子へ、子から子へと受け継がれてきたのです。

その為、単に狩猟の資格があるからといって、勝手に山で猟をすることは許されません。ある時期に受け継がれるものなのです。

これにより、無駄な乱獲や商売のための狩猟を制限しているのです。

島の恵み、限られた資源を大切にしているからこその伝統です。

罠にかかり確保したイノシシを持ち帰り、猟師自らが解体します。もちろん、地域の保健所にはしっかりと届出を出し許可を得ています。

骨と各部位にきちんと分けられ、保存されます。

毎年、初猟の祭には猟師仲間や家族に獲れたてのカマイの肉を振舞います。これは、山に対しての感謝と猟期期間の安全を祈願した恒例儀式のようなものです。

島の住人たちにとっては、生きるために必要な貴重な食料であったとの歴史があるのです。

私たちも、食べものを口に入れるときは、”命をいただきます”の本当の意味をかみ締めていかないといけませんね。