西表島のあかちゃんのお祝い事で”タンカユーエー”というものがあります。
これは生まれて一年が経過した赤ちゃんのお祝いで、すこし離れた場所に、お金・赤飯・そろばん・本・鉛筆などを並べ、ハイハイ歩きの赤ちゃんが手に取ったものによって将来を占うというものです。
近年では、かなりユーモアなアイテムを並べる家族も増えてきていて、とても楽しいイベントとなっています。
しかし、イベントとはいえ神聖な儀式。仏壇や火の神様(ヒヌカン)にお供え物をし、家族、子供の健康繁栄をお祈りする所から始まります。
やはり、神様とご先祖様はとても大切な存在であります。
その後、家族、親戚一同、友人達が見守る中、満一歳の赤ちゃんによる品物選びがはじまります。
一生懸命、ハイハイする姿はなんともいえない様子で、集まった人たちにも自然と笑顔がこぼれます。
何を手にとるのかなぁ~。ここでそれぞれの意味を見てみましょう。
・お金 → お金には困らない人生を送ることができる。
・赤飯 →食べるものには困らない人生を送ることができる。
・そろばん →商売に才を見出す人生を送ることができる。
・本 →頭が良くなる。
・鉛筆 →公務員や役人になれる。
これにプラスして、女の子の場合はハサミも並べたりします。お裁縫が上手になるようになどの願いも込めて。
これだけ見るだけで、どれを手に取り、どんな人生を歩んでいくのかとても楽しみになってきますね。
このほか、西表島では生まれて100日目の「百日祝い」もあかちゃんのお祝い事としては重要なものにラインナップされています。
意味合いとしては、お披露目会としてというのが強いですが、参加してもらえた人々に代わるがわる抱っこをしてもらい、厄を落としてもらうという厄払いの行為でもあります。
西表を含む沖縄の文化には、赤子と老人をとても大切に扱う風潮があります。とてもすばらしいことですよね。
子は宝であり、もちろん親は存在しますが地域みんなで育てていこうという暖かい気持ちがとても表れています。
そのため、大きく成長した子供たちも島に地域にとても感謝し、心ある人間に育っていくわけです。
大昔、島全体に困難な時代が多々あったと思われますが、そういった結いの精神で命を繋げていったのでしょう。
現代にも残るその文化は、特に大切にし永遠に続けていかなくてはなりませんね。
少し余談ではありますが、出産の内祝いのお返しをご紹介しておきましょう。
お返しとしていただき品物はごく一般的ではありますが、珍しいのは泡盛のボトルに生まれた赤ちゃんの写真を貼り付けたオリジナルボトル。
泡盛ですので、腐ることなく熟成されてどんどん味わい深いものになっていきますね。
そして、お返しのものと一緒に頂くのが、命名札。これはほぼ必ず付いてきます。
もらった方々は、家の壁に張り付けたりして大切に保管します。多い方では何百枚と貼り付けている方もいますよ。
生まれた日、名前も分かり、他人の子ですがとても愛着がわいてきますよね。
人数は多くないですが、西表で生まれた子供たちは地域の人たちに歓迎され、たくさんの愛情に包まれ大きく成長していくのです。