先祖と子孫を繋ぐニライカナイの神秘

沖縄県南西諸島八重山列島に浮かぶ人口約2500人の島、西表島。島の全面積の9割が亜熱帯の自然林という南国の楽園である。そのうちの1割程度は人類が足を踏み入れたことがないとされています。 近年では多くの観光客が訪れリゾートを満喫する風潮が盛んになってきています。島を取り囲むコバルトブルーの東シナ海は世界に誇るスキューバダイビングのスポットになっており、各国からダイバーたちが魅惑の海を楽しんでいる。

そういった観光地としての西表島の歴史は浅く、ここ30年ほどで急速に伸びてきた一面であります。 その背景には、終戦から始まり、1972年にアメリカ合衆国から日本国へ返還されるまでの閉ざされた歴史が大きく関係しているといえるでしょう。

しかし、その一方では遥か昔から行われる伝統の文化は途切れることなく今に受け継がれている。戦後アメリカ国統治下の時代でも続いてきた島固有の尊い文化であることは間違いないでしょう。

主に西表島の年中行事はそのほとんどが旧暦に沿って行われています。

旧暦とは、月の満ち欠けや潮の満ち引きで時を刻む”太陰暦”がベースになっています。もちろん現在新暦に従って生活はしていますので、旧暦と新暦の両方が生活の中に大きく関わっているといえます。

これは西表島をはじめ琉球の国々が、大陸文化に大きく影響を受けていた歴史に関係があると思われます。

月や星の動きで季節を感じとり、種まきの時期、収穫の時期、漁のタイミングを図ってきたのであります。

先祖を神と崇め祭事を行い、また大型の台風や海に浮かぶ島特有の自然災害などが繰り返されるうちに祈りを捧げるという風習が深く根付いていったのです。

島の思想の中には、先立たれたご先祖たちは死者の国”ニライカナイ”で神として生きるという信仰があります。いわゆる理想郷という位置づけで、先祖達がなに不自由なく争うことなくいき続けているという思想である。

常に生活する上で先祖を感じ、神を意識し、残された子孫たちが不自由なく楽しく生活している、あなたから繋がる命は絶え間なく続いています、と知らせているのです。その方法が一年の中で行われる、多くの行事にあるということです。

託される移住者たちとの共存

長年に亘り引き継がれてきた行事や文化も、島で生まれ育ったものだけで受け継いでいくのは容易ではありません。歴史の途中にはマラリアによる人口激減や自然災害の影響など、数多くの困難があります。

そこで、日本国に返還後に島に訪れ移住する人々とともに文化を継承していく必要に迫られたことも事実でしょう。

しかし、行事のながれ、琉球独特の舞踊、三線、を思想とともに受け継がなくてはなりません。移民者を受け入れる心、伝統・文化を心から理解を説かなくてはなりません。これが、島を守り先祖に感謝し発展していく、唯一の手段になってきているのです。

今ではいくつかの行事は国の無形重要文化財に指定を受けているものもあります。その影響でそれを全国から見学に来る方も増えてきています。

しかし、このような行事ごとや政は、大昔から小さな集落の限られた民のみで取り仕切られ、また信仰深く密やかに行われ現代まで続いていることに、尊さと何者にも変えがたい価値を感じることができますね。

その文化がこの先思想ともに受け継がれていくことを願うばかりです。